妻とのセックスで射精できないようになった私は、ネットでいろいろと自分の症状を検索したりして調べて回った。最初はEDを疑ったがどうもちょっと違う。勃起には問題ないが膣内に入れた時に感覚がないという症状に当てはまらない。
ようやくたどりついたのが遅漏、膣内射精障害だった。
膣内射精障害になる原因の多くは間違ったオナニー。残りはストレスなど精神的なものだという。
間違ったオナニー・・・。
心当たりがあった。
長女の出産を境に妻とセックスレスになってからというもの私は毎日のようにオナニーをしていた。
オナニーの方法はいわゆる間違ったオナニーだった。私の場合はいわゆる強グリップ(強くペニスを握りすぎること)。そしてAV(アダルト動画)を見ての短時間オナニー。
エロビデオを借りてくるのは同居人がいる身としてはリスキーだけど、ネットで検索すればいくらでも無料でエッチな動画を見れるサイトがあった。それを利用して、ネットでオナニーのおかずネタを探してはお気に入りの美形や巨乳のAV女優や現実にはなかなかないようなエロいシチュエーションの動画で抜いていた。
AVを見ながらローションも何も使わずに手でペニスを強く握りしごく。
足をピンと張って力を入れればいつでもすぐ射精できた。
一回のオナニーにかける時間は短い。エロ動画探しの時間を入れなければペニスを刺激し始めてから射精するまで3分も必要ない。フリーランスでたった一人でパソコンに向かって制作の仕事をしていた私は、仕事の気分転換に、眠気覚ましに、ストレス解消に、この短時間で気軽にできるオナニーを行うようになっていた。
これを7年間ほぼ毎日続けた。
今思えばこれで膣内射精障害にならないわけがない。
「救いようのない馬鹿だな、俺は・・・」
一時の快楽におぼれて間違ったオナニーをしまくったあげく、本来一番大事な「セックス」で射精できなくなってしまうなんて愚か者すぎる。
情けないし恥ずかしい。
いったい、いつから俺はこんなバカ野郎になってしまったんだ。
そう思って過去を振り返った時、突然あることに気付いた。
遠い記憶が突然よみがえってきた。
夜中だ。
部屋の明かりは消えている。真っ暗な部屋には布団が敷いてあり小学校の低学年くらいの男の子がうつぶせの状態で寝ている。掛け布団が小刻みに動いていた。眠ってはいない。
布団のゆれが少しずつ早く大きくなっていく。やがて「うっ!」という小さく短い声があって動きが止まった。男の子がひと仕事を終えたように息をふーっと吐いてあおむけになった。
子供の顔に見覚えがあった。
幼いころの私だった。
なんてことだ。
私は小学校の頃からすでに間違ったオナニーをしていたのだ。
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