T枝のおかげで無事に膣内射精障害や早漏を克服したが、数年たった頃、残念ながら二人に別れが訪れてしまった。じつは、彼女には夫がいたのだ。
そのことを知った時はショックだった。もう今更そんなことを言われても好きな気持ちを抑えることはできなかったから、なんとか夫と別れて一緒になろうよ、とも話した。でも、まだガキの私だ。結局、彼女は夫の元へ帰っていった。
しばらくは誰とも本気で付き合う気がしなかった。
少しやけになっていたせいもあって気になる女の子がいれば片っぱしから声をかけてセックスをした。
セックスには自信があった。
T枝の指導のおかげで前戯のテクニックもあがっていたし、もはや膣内射精障害でも早漏でもない。
みな、恍惚の表情で私を見上げて言った。
「凄い・・・」
ぱっと見は幼くすら見える私がセックスに慣れていることにみんな一様に驚いていた。
私は20代前半、体力も満ち溢れていた。
いくらお酒を飲んでもダメになるなんてことはなく、いつも100%ビンビンに勃起した。射精のタイミングをコントロールして女性をイカせた後で出すようにしていた。そしてその気になれば一晩に何度でも射精できた。
次から次へと女をとっかえひっかえ。
一晩にダブルヘッダーをこなしたりもしていた。
でもどんなに性欲を満たしても、心は満たされることはなかった。
心の中にはいつもT枝がいた。
彼女が私に微笑んでいる姿が目を閉じれば浮かんでくる。
他の女性とセックスをしている最中でさえ・・・。
私はただ寂しさを埋めるために、顔のない女と寝ていただけだった。