高校時代はエッチばかりに興味があったわけではなく、どちらかというとそういうことはどうでもよかった。高校では軽音楽部に入ってバンドに夢中だった。担当はギター。プロのギタリストになりたいという夢があった。
音楽雑誌で憧れのスーパーギタリストが「毎日8時間は練習しているぜ」と発言している記事を読んで、せめて自分も時間だけはそのくらいかけようと毎日ギターを弾いていた。結局は毎日5時間くらいしか練習できなかったけど、それでもめきめきとギターは上達した。やればやるほど上手になるからますます夢中になっていった。だから、女の子と遊ぶ時間はなかった・・・はずなのだけど、高校3年生になった時、軽音楽部の後輩の女の子に告白されて付き合うことになった。
M樹はぽっちゃりとしたタイプで胸が大きかった。部活が終わった後に待ち合わせして公園に行ったり休みには彼女の部屋へ行くことが多かった。セックスはしていなかった。一度挑戦したが膣に入れようとすると彼女が痛がって上手くできなかったので、それ以降は挿入はなし。いつもお互いの性器を愛撫しあうだけで、最後は彼女の手で抜いてもらっていた。時々は口でもしてもらうのだが、どうもフェラは気持ちよくないのでいわゆる手こきばかりだった。
M樹は風呂なしの狭いアパートで母親と二人で暮らしていた。彼女の母がパートから帰ってくるまでの間に部屋に行ってエッチなことをして帰る、というのがいつもの流れだった。ある時、いつものように手でしごいてもらっていると、射精寸前に玄関のドアノブがガチャガチャと動いた。お母さんが帰ってきたのだ。あせって彼女がしごいていた手を離したがその瞬間に射精してしまった。いつもならティッシュで受け止めるのだが焦って手を離したので精液がズボンや床に飛び散ってしまった。ドアの鍵は閉めてあったがお母さんは鍵を持っているからすぐにドアは開いてしまう。ティッシュで拭く暇もないので、そのままおちんちんをしまってチャックを上げた。床に落ちた精液はそこにあった座布団で適当にごまかした。
彼女のお母さんが入ってきた。「あら、いたの?」となにげない風だったが、大人になった今にして思えば、お母さんには私たちが何かしていたとばれていたと思う。思春期の精液の匂いは強烈だし、私たちの服も息も乱れていたし、あせった様子はごまかし切れていなかっただろう。
M樹とは高校を卒業してすぐに別れた。結局、彼女ともセックスはしないままだった。
私は少し気になっていた。
何度かチャンスがあったのにいつも女性とセックスができていない。
手では射精するけれど口でしてもらっても気持ち良くないのも気になる。
もしかして自分に何か問題があるのかもしれない。
いつもエッチのことを考えているわけではないけど、時々、大丈夫かなと不安になった。
高校を卒業してしばらくたった頃、高校の部活時代の仲間で飲み会があった。
先輩や後輩もたくさん来るが、元カノのM樹は来ないという。なんとなく自然消滅していた関係だけに彼女に会うのは気まずかったから来ないならちょうどよい。気晴らしに出かけて行った。
久しぶりに楽しいメンバーでお酒を飲んだ。楽しく盛り上がって12時をかなり回った頃、お開きとなった。最後は近くで1人暮らしをしているという後輩の女の子K美を、私ともう一人の同学年の男の友人とで歩いて送っていくことになった。
シャッターがしまったうす暗い商店街を3人で歩いていた時、K美が私の腕を掴んで耳に口元を寄せて小さな声で言った。
「センパイ、この後、ワタシの部屋で二人だけで飲みません?」
私は声を出さず前を向いたままうなづいた。
彼女のマンションの下まで来ると
「じゃあ、俺たちはここで」
と彼女を見送った。
彼女を見送った後、しばらく歩いてから同級生とも「じゃあ」と言って別れた。私は逆方向に行くふりをして少し先まで行って振り返り、友人の背中がきちんと通りの向こうに消えるのを確認した。1人になってからすぐに今歩いてきた道を戻り、K美のマンションへ行った。
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